南仏ニースにあるマティス美術館。
開いた窓にカーテンがゆらゆらと揺れ、まるでリビングのような展示空間。
全空調の東京の美術館とは異なる展開に、地中海の開放的な風土を感じる。自然光とそよ風を採り入れた肩ひじ張らない美術館の在り方は、マティスの大らかな画風とも重なった。
マティスが生涯大切にした身の回りの物の展示に、小さな素朴な花瓶を見つけ、優しい人柄を想像する。
マティスの言葉に「わたしが夢みるもの、それは人を不安がらせたり、心を重くさせたりするような主題をもたない、均衡と純粋さと静けさの芸術。肉体的な疲れをいやすのがここちよい肘掛椅子だとすれば、まさにその肘掛椅子のような芸術」というのがある。
まさに美術館の自然体な環境づくりは、マティスの観念そのもの。
光や風がここちよい環境づくりは、音環境づくりにも大切な要素と考える。