祈りが響く風景

リシケシの夕闇

祈りが終わる夕刻、夕焼けと夕闇の狭間に三日月がポツリと浮かぶ。
ここは北インドにあるヨガ発祥のまち、リシケシ。
今回は、コロナ禍の沈静を願って、祈りの風景を綴ります。

リシケシは、首都デリーから電車で4時間、そこからバスとリクシャーを乗り継いでやっと辿り着く、ヒマラヤ山脈の麓の小さなまち。自然とヨガと医食が繋がり、町中が菜食主義のノンアルコール、ノンケミカルで、自然の力を戴くここでの滞在は、おのずと「人間と自然の共生」を自分の細胞レベルで感じることになった。

リシケシの街並み

太陽の恵みとスコールの激しさ、豊かな自然の緑とガンジス川の潤い、馬牛猿と人とが道を分け合い行き交う風景。長髭にサフラン色の布を纏ったヒンドゥー教の修行者たち。まちの人々の祈りの声があちらこちらから道端に漏れ聞こえてくる日常。

リシケシの街並み

毎夕、人々はガンジス川沿いに集まり、プジャという祈りの儀式を行う。
タブラの演奏に合わせた老婆の歌声が町中に響き渡る。鐘を鳴らし、お花を供え、火を灯す。悠々と流れるガンジス川に響く歌声は心を揺さぶる心地よさがあった。歌声に合わせてリズムを取る花売りの楽しそうな女性。人々は最後に胸の前で手を合わせ「シャンティ、シャンティ、シャンティ」と合唱する。シャンティとはサンスクリット語で「平和」という意味。

一回目のシャンティは自分の平和を、二回目は周りの人の平和を、三回目は世界の平和を願うもの。こうして自然を尊い、謙虚に自然の力を借り、相手に譲り、相手を思いやることができれば、隣人と手を合わせて争いのない世の中になるのではないかと、祈りの風景のなかで想いを馳せる。

コロナや自然災害の災いが続いています。
世界の平和を願い、今日も明日もリシケシではガンジス川で祈りを捧げていることでしょう。

祈りの響きや楽音が人のこころを揺さぶる、音楽の力は、このコロナ禍の事態にこそ、鮮明に感じます。